バイナル・カスライン(カイロの目抜き通りの一部)と公共の給水泉


3-3 (no. 14) バイナル・カスライン(カイロの目抜き通りの一部)と公共の給水泉
beyn el-kasreyn (part of the principal street of cairo) with a public fountain & c.
リトグラフ、ラグ紙


 ファーティマ朝は首都カイロの中央に大小2つの宮殿(カスル)を向かい合わせて建設した。二つの宮殿の間を走る大通りは、そのまま「あいだ」と呼ばれて今日に至る。ノーベル賞作家ナギーブ・マフフーズの作品で有名なバイナル・カスラインである。時とともに道幅は建物に浸食され、かつての幹線道路の面影は消えたが、150年前も今も賑わいは変わらない。パンを頭に載せて道行く女性の手前では男がコーヒーをすり潰し、中央に描かれた女乞食は施しほしさに手をのばす。今では黒一色が常識のようになっている女乞食の衣装が驚くほどカラフルなのは歴史的事実か、それともイギリス人の素人が彩色した結果なのか。絵画の由来に興味は尽きない。