ベダウィーヤの給水泉


3-2 (No. 13) ベダウィーヤの給水泉
THE FOUNTAIN OF THE BEDAWEEYEH
リトグラフ、ラグ紙


 オスマン朝期の支配層は、1階に給水泉、2階にコーラン学校を配したカイロ独特の複合建築を好んで寄進した。中でも、18世紀のマムルーク軍人、リドワーン・アルジュルフィーの一族が亡き娘ルカイヤ・ドゥドゥを記念して建てた給水泉は、壁面装飾の美しさと特長ある屋根とにより、建築史上に残る傑作と言われている。概して学校を付設した給水泉のまわりには人が集まりやすく、露店が立ち並ぶことも多い。しかし、今日ほとんど廃虚と化したこの泉の周辺には人がたむろすることもない。いずれにせよ、評価の高い歴史的建造物が都市開発の犠牲となって荒廃に任されているのは残念なことである。