カイロの目抜き通りにあるトゥースーン・パシャの給水泉


3-1 (No. 12) カイロの目抜き通りにあるトゥースーン・パシャの給水泉
THE FOUNTAIN OF TOOSOON PASHA, IN THE PRINCIPAL STREET OF CAIRO
リトグラフ、ラグ紙


 快適な都市生活を送るためには、飲料水の安定供給が不可欠である。カイロをはじめ中東諸都市では古くから上水道と一体化した公共給水泉(サビール)が発達し、通行人に水を供してきた。またカイロの特性として、給水泉にはしばしばコーラン学校(クッターブ)が附置されたため、周辺はやがて広場の役割もかねるようになった。ここに描かれた給水泉は、半弓形をした泉の両側にコーラン学校を配した独特の造りで、19世紀カイロを代表する建造物の1つに数えられている。中央に描かれた有名な長ギセルの男をはじめ、今日では見かけなくなった服装の通行人が興味深い。給水泉に向かって歩く男の肩にかかる革袋は、効率よく水を運ぶための伝統的な民具である。