ブーラーク、パート1


2-4 (no. 9) ブーラーク、パート1
boolak, part 1
リトグラフ、ラグ紙


 太古の昔から、ナイルはしばしば流れを変えてきた。流れが変わってファーティマ朝カイロの港マクスは陸に取り残され、役割を終える。代わって登場したのが北部のブーラーク。14世紀のことである。新港はやがてマムルーク朝による東西貿易の要となり、オスマン朝期に入っても、地中海貿易の積み出し港、工房密集地として栄え続けた。さらに19世紀には近代化の拠点となり、未曾有の繁栄が訪れる。絵の左奥にはオスマン朝のエジプト総督にしてイェメン征服の立役者、スィナーン・パシャ建立の大モスクが描かれているが、この近辺にはカイロ博物館の前身、仮展示場も置かれていた。ブーラークはエジプトにおける考古学発祥の地でもある。