ナスル門とカイロの城壁


1-1(no.1)「ナスル門とカイロの城壁」
bab en nasr & walls of cairo
リトグラフ、ラグ紙


10世紀初め北アフリカに興ったファーティマ朝は、969年にエジプトを征服すると間もなく新都を建設し始めた。旧都フスタートの東北に建てられた町の名は、「勝利者の町」カイロ。千年に及ぶ歴史の始まりである。当初建造された北の壁はおよそ100年後、城外のハーキム・モスクを取り込む形で造り直され、2つの塔を持つナスル門もこの時開かれた。門外はやがて墓地となり、門と墓地との間には市外から来た商人が集うスークも生まれる。一方、墓地の西に位置するフサイニーヤは活気溢れる庶民地区となり、18世紀には、しばしば反乱や騒擾の場と化した。門の向かって右にハーキム・モスクのミナレットが見える。