今月のエッセイと写真集
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(1998年5月)



 

 インド・オリッサ州・クルダ県のゴロマニトリ村にあるトルティヤデーヴァ寺院に祀られているジャガンナート(右端)、スバドラー(中央)、バラバドラ(左端)三神。横に立っているのはこの寺院付きのバラモン司祭。バラバドラはジャガンナートのお兄さんで、スバドラーは一番下の妹であるとされるが、何と言ってもジャガンナートが圧倒的な人気を誇る。
 ジャガンナートはオリッサの真の支配者で国家神であるとされている。かつてオリッサの帝王は、ジャガンナートの地上における代理人としてその支配を正統化していた。現在ではジャガンナートを祀る寺院は各地に見られるが、元々ジャガンナートは王権とのつながりにおいて、オリッサの聖都プリーにのみ祀ることを許されていたのである。それがこの村にジャガンナートの寺院が建立されるきっかけとなったのは、プリーのジャガンナート寺院へのムガルの攻撃を恐れた王が、神のエッセンスとされる「ブラフマ」(神像の中に納められる謎の「物体」)をこの村に避難させたことに始まるという。
 そうした地上における政治史を超越してか、天上の「真の支配者」はあくまで愛くるしい。

(1996年,インド・オリッサ州・クルダ県ゴロマニトリ村にて撮影:田辺明生)


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