4AA研の研究活動概要アジア・アフリカの新たな認識の基盤形成アジア・アフリカ言語文化研究所(以下、AA研)は、文部科学大臣によって言語学、文化人類学、地域研究分野の共同利用・共同研究拠点に認定された「アジア・アフリカの言語文化に関する国際的研究拠点」です。共同利用・共同研究拠点の認定制度は、国公私立大学を通じて研究者が共同で研究を行う体制を整え、わが国全体の学術研究をさらに発展させる目的で、2008(平成20)年に文部科学省が創設したもので、大学に附置された研究施設のうち「全国の関連研究者に利用させることにより、わが国の学術研究の発展に特に資する」と認められたものだけが共同利用・共同研究拠点に認定されました。共同利用・共同研究拠点としての本研究所の使命は、今日、人類の7割を超える人びとが暮らすアジア・アフリカ地域の多様な言語・文化のあり方を研究し、中長期的には、21世紀の地球の見取り図を描くうえで必要不可欠な、アジア・アフリカ世界に関する新たな認識の枠組みを提供するための基盤形成に寄与すること、また、この地域の多様な言語・文化のあり方をモデルに、未来の多元的世界の発展可能性を追求することにあります。この目的を達するため、本研究所では主に以下の3つの領域において、国内外の関連研究者コミュニティによる共同利用・共同研究を推進しています。1) 臨地研究(フィールドサイエンス)に基づく国際的研究拠点としての共同利用・共同研究2) アジア・アフリカ諸地域の言語・文化等に関する研究資源の収集・分析・編纂および研究成果の発信3) 研究活動および研修・出版・広報等の活動を通じた次世代研究者養成このうち、特に1)と3)の推進にあたっては、本研究所が設置・運営している2つの海外拠点も有効に活用し、国境を越えた現地共同研究や、国外の関連研究者の参加を得る形での次世代研究者養成を実現しています。2012(平成24)年度には、新たに6つの共同利用・共同研究課題が発足しました。これらの研究課題は、AA研所員が、国内外で最先端の研究を行っている300名を超える研究者と共に、緊密に連絡を取りながら展開しています。すべての研究課題は公募の上、所外の研究者が過半数を占める委員会による厳格な審査を経て採択されたものです。一方、本研究所の場合、研究対象となる地域と学問分野が非常に広く、所員の専門も多岐にわたることから、ともすれば共同利用・共同研究拠点としての特徴がわかりにくくなってしまうという問題を抱えていました。そこで,2010(平成22)年度からは、「言語ダイナミクス科学研究」「人類学におけるミクロ‐マクロ系の連関」「中東・イスラーム圏における人間移動と多元的社会編成」「アフリカ文化研究に基づく多元的世界像の探究」の4つを研究所の基幹研究に選び、拠点としての特徴を外部に対してより具体的に示すようにしています。4つの基幹研究は、文部科学省のCOE拠点形成・特別推進研究費や特別教育研究経費(拠点形成)を得てすでに研究所内に形成されている「アジア書字コーパス拠点」「中東イスラーム研究拠点」と並ぶAA研の顔として、公募による共同利用・共同研究課題と連携しつつ、強力かつ集中的な共同研究を進めています。AA研の研究活動
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