22既形成拠点共同研究アジア書字コーパス拠点(GICAS)GICAS「アジア書字コーパス拠点」は、文部科学省のCOE拠点形成・特別推進研究(COE) 「アジア書字コーパスに基づく文字情報学の創成」(Grammatological Informatics based on the Corpora of Asian Scripts)によって2001(平成13)〜2005(平成17)年度の5年度にわたり補助金を得て形成されてきた「COE研究拠点」の1つです。GICAS拠点が体系化を目指す「文字情報学」は、アジアにおいてとりわけ豊饒な「文字」を情報通信の基盤メディアとして捉え直し、ここに国際的な文字情報通信で求められる学問的基礎を与えることを目的とする新しい学問領域です。GICASは、研究所の従来の研究活動をいっそう拡充して、統計的解析を行うに十分な規模の資料体(コーパス)としてアジア各地に蓄積される書字文化資料の「アジア書字コーパス」を構築してきました。各地に伝存する碑文・石経、諸宗教聖典の宮廷写本など、本文・字体の双方に規範を示すために作成された聖典書字資料はアジア各地に残存しますが、この電子化を中心とした「アジア書字コーパス」(Corpora of Asian Scripts)は、そこに投影されるアジアでの文字学問研究の伝統と文字使用文化の歴史の電子的な体現であり、「アジア書字コーパス」を現代の情報処理技術で実装することで、検証可能性を持つ新たな学問領域「文字情報学」の創成と体系化の基盤とすることができます。「アジア書字コーパス」の実装は、文字情報処理に確固たる学問的基盤を与えることを意味し、これによって「アジア書字コーパス」に文字情報学の国際的レファレンス・センターとしての国際的な認知を得て、アジアの文化に根差した文字学研究・文字情報処理においても、我が国が主導的な立場に立つ事を目指すものです。http://www.gicas.jp/中東イスラーム研究拠点(MEIS)MEIS「中東イスラーム研究拠点」は、本研究所が2005(平成17)年度から2009(平成21)年度まで文部科学省特別教育研究経費(拠点形成)を得て実施した「中東イスラーム研究教育プロジェクト」(The Research and Educational Project for Middle East and Islamic Studies) を通じて形成された中東およびイスラームの研究拠点です。この拠点の前身となった中東イスラーム研究教育プロジェクトは、2006(平成18)年2月にレバノンのベイルート拠点「中東研究日本センター(JaCMES)」、2008(平成20)年3月にはマレーシアのコタキナバル拠点「コタキナバル・リエゾンオフィス」を開設し、それぞれの運営にあたる一方、中東・イスラームに関する複数の共同研究を展開し、国内外の研究者を招いた不定期の研究会やシンポジウムと合わせて、日本における中東研究、イスラーム研究の全国的な発展や国際的展開に寄与してきました。また、全国の大学院生や博士課程満期修了者を対象とした中東・イスラーム研究セミナー、同教育セミナーおよびアラビア語、ペルシア語、ジャワ語の文献学・文書学セミナー、さらには若手のみならず全国の研究者すべてを対象としたオスマン文書セミナーなどを通して、次世代を担う若手研究者の育成にも努力してきました。2010(平成22)年4月に発足した本研究拠点は、同時にスタートした基幹研究「中東・イスラーム圏における人間移動と多元的社会編成」や、中東研究日本センター、コタキナバル・リエゾンオフィスの維持・運営にあたるフィールドサイエンス研究企画センターと密接に連携・協力しながら、わが国の中東研究、イスラーム研究のさらなる振興・発展を目指しています。既形成拠点
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