AA研要覧 2012
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共同研究研究資源13概 要研究者養成共同利用・共同研究課題集い、究める共同利用・共同研究拠点である本研究所にとって、所員が所外の研究者と共同で推進する共同利用・共同研究課題は、もっとも大切な研究事業のひとつです。参加する所外の研究者は、AA研の「共同研究員」の身分を委嘱されます。各研究課題(プロジェクト)は公募を経て、所外の研究者を含む「共同研究専門委員会」によって採択されます。また年度ごとに研究成果や公開の状況などに関して評価を受けます。これまで多くの研究課題(プロジェクト)が組織され、約650点におよぶ出版物や、オンライン辞書・データベースなど、多様な研究成果をあげています。http://www.aa.tufs.ac.jp/ja/projects/jrp/2012(平成24)年度に進行中の研究課題以下のリストでは、大きく分野ごとに分けていますが、多くの研究課題が複数の分野にまたがるテーマを扱っています。■言語学系【漢字字体規範史研究 第二期】2010〜2012年度 代表者:石塚 晴通(北海道大学名誉教授) 所員1/共同研究員13 漢字字体には規範がある。本プロジェクトは、その規範の歴史的転換をもたらす強い影響力を持つ文献、及びその規範を忠実に反映した文献からなる「漢字字体規範史料」を選定し、漢字字体規範の史的展望を行なう。過年度までの「漢字字体規範史研究」 (2007〜2009) プロジェクトで構築した「漢宇字体規範データベース」 HNG (http://joao‐roiz.jp/HNG/)を研究基盤に置き、漢字字体史の科学的な編年規準を確立する事を目指し、その過程で史的・国際的検討に耐える漢字字体概念の一般化と文書化を行なう。又、HNGデータベースの拡張にも努める。(HNGデータベースは、「東洋文字文化の継承と発展に寄与する優れた業績」であるとして第一回「立命館白川静記念東洋文字文化賞」を受賞している)。 メンバーには、文献学だけでなく、工学(光学的手法による非破壊文書年代検査法)専門家を含み、唐代写本・奈良朝写経等を多数所蔵する京都国立博物館学芸部副部長、海外からは大英図書館・フランス国立図書館の各敦煌コレクション責任者を(別途科研費により招いて)加え、編年規準の客観化・国際化に十分留意したプロジェクトとする。http://joao-roiz.jp/HNG/【北方諸言語の類型論的比較研究】2010〜2012年度 代表者:呉人 徳司 所員5/共同研究員20本研究では、北東シベリアから北米にかけて分布する諸言語(以下、北方諸言語)の様々な文法現象に関する類型論的比較研究をおこなう。人類の移動のルートにあたるこの地域は、類型・系統を異にする言語の蝟集が世界的に見ても突出した地域として注目されている。それらの言語が示す類型的多様性は、語形成手段、文法関係の標示、語順、文法範疇など、形態論から統語論へと多岐にわたる。従来、北東アジアと北米では別個に研究が進められてきたが、これらの文法現象の中には大陸の新旧を越えた類似性を示すものもあり、両地域を総合的に捉える視点が重要である。本研究では、以下のような研究を行なっていく。1. 国内外の北方諸言語研究者の協力体制により、海外研究者にも協力を呼びかけ国際的な北方諸言語の類型論的研究を構築することを目指す。2. 特別経費 「言語ダイナミクス科学研究プロジェクト(LingDy)」とも連携し、北方諸言語の記述の前提である言語データの加工と公開に取り組む。【契丹語・契丹文字研究の新展開】2010〜2012年度 代表者:松川 節(大谷大学) 所員1/共同研究員810世紀、現中国北部〜モンゴリア地域に成立した契丹(遼)では、漢語とともにモンゴル語系の「契丹語」が主要言語として通用し、「大字」と「小字」という異なるタイプの文字体系を用いて記されていた。これらは石刻史料の形態で現存するが、資料数は僅少であり、内容的にも墓誌に限られる等の偏重もあり、結果的に未だ契丹語および文字の解明には到っていない。また従来の研究においては、契丹文字資料の研究は歴史学的見地からの研究が主流を占め、言語学的見地からの研究は充分に尽くされているとは言い難い。本プロジェクトは、契丹文字資料について、最新の言語学的研究をもとに研究・分析を行い、新たな契丹語・文字研究を目指す。3年という時限を設定し、段階的に研究成果を示す。具体的には契丹文字碑文の検討を通じて、1)資料データの収集、2)個々の契丹文字の画像抽出、などを行い、研究者・一般が活用できる形で公開する。その上で、3)主として言語学的な視座からの研究を行い、その成果を論集等にまとめて報告・公開することを目標とする。http://liaojinxixia.web.fc2.com/共同利用・共同研究課題

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