AA研要覧 2005
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近代の音にかかわる科学、すなわち音声科学、音声学、音韻論等は音の物理量の測定と分析から始まり、その成果が現在の様々な理論に発展してきています。本研究所では、このような音の基礎研究に関する分析や実験が行えるように、様々な機器を備えています。現在、本研究所に備え付けている言語音の分析機器の主力は、パソコンとそれにインスト-ルされている音声分析ソフトウエアです。テープレコーダやマイクロフォンからの音声を一時パソコンに録音して、そのパソコン内の資料をソフトで分析します。パソコンにはMacintoshとWindowsが用意されています。どちらの種類の分析ソフトも、サウンドスペクトログラフ、フォルマント周波数の測定、基本周波数の測定、音の持続時間、音圧測定等の音声分析に必要な物理量を自在に測定することが出来ます。連続した一つの音声資料(1ファイル)の録音時間はMacintoshでもWindowsでも、44k程度のサンプリングでほぼ1時間半から2時間録音できます。なお、このパソコンへの長時間録音だけに適したソフトも用意されています。パソコンの音声入出力装置としてはDATテープ、カセットテープ、DVD、MD、CD等の媒体が利用できます。この他音声実験に必要な他の機器の導入も計画されています。また、現在はMacintoshには映像解析ソフトがインストールされており、VHSのビデオコーダを入出力装置として使えます。なお、本研究所には、新キャンパス移転以前から、その時々の日本における最先端の録音技術を用いて様々なアジア・アフリカの言語の語学テープを録音してきました。また所員をはじめとする研究者が野外調査で収集してきた世界の珍しい言語資料や、民話、民族音楽のテープやレコードも保管しています。新キャンパスへ移転後も、静かな環境で高品質の録音が可能な防音スタジオを用意し、録音機器としてもDATとカセットの高品質テープレコーダを備えています。録音媒体の変換用機器も用意されている。すなわちDATカセットテープ、アナログカセットテープ、CD、DVD、MD媒体の録音が相互に他の媒体に録音できます。これらの機器を利用するためのマニュアル類は実験室に用意されています。44アジア・アフリカ言語文化研究所音声学解析◆中国内蒙古自治区・フフホト市のはずれでは昔ながらの露店。急速に現代化が進む中国の地方都市。舗装されていない路上に食料品店が並ぶ風景も減りつつある。(フフホト,2004年9月,荒川慎太郎撮影)

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