AA研要覧 2005
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人類社会は象徴系資源と生態系資源という連関する二つの基盤のうえに成り立っています。この連関の様相を実証的かつ理論的に解明する人類学の新たな統合領域を構築することによって、天然資源のみならず、人工的二次的物的資源、さらには無形の知的・文化的資源をも包含する広義の「資源」の分配と共有をもって人類社会の根底的機序とするという視座を確立します。この基本的視座の確立は、地域社会、国家、あるいは国家を超える広域の人間社会の変容および適応という動態過程を統一的に分析することを可能にします。逆にまた視座の有効性は、こうした動態分析によって保証されます。本領域は、人類学に新たな可能性を拓くとともに、現代世界の周辺における動態的局面の根底的解明を目指します。文部科学省科学研究費補助金「特定領域研究」として、平成14年(2001)~18(2005)年度の5年間にわたり行なわれる研究の成果及び活動内容については、独自のホームページ(http://shigenjin.aa.tufs.ac.jp/)にて公開しています。-計画研究-『象徴資源と生態資源への人類学的アプローチ』(総括班)『文化資源の生成と利用』『知識資源の共有と秘匿』『小生産物(商品)資源の流通と消費』『贈与交換経済における貨幣資源の浸透』『自然資源の認知と加工』『生態資源の選択的利用と象徴化の過程』『資源と生態史-空間領域の占有と共有』『身体資源の構築と配分における生態、象徴、医療の相互連関』41東京外国語大学 要覧2005資源の分配と共有に関する人類学的統合領域の構築~象徴系と生態系の連関をとおして~

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