言語学の本来の研究分野は、音韻、形態、統語、意味であるが、そのなかでも音韻論は、長らく他の研究分野をリードしてきた。本研究プロジェクトは、音韻論のなかでも声調(tone)を中心とする超分節素(suprasegmentals)の研究をおこなう。世界に、声調言語は意外と多い。中国語諸方言やチベット・ビルマ系諸語、またベトナム語、タイ語などの東南アジア諸語、バンツー系やクワ系などのニジェール・コンゴ諸語、マサイ語やナンディ語などのナイル系諸語、南部アフリカのコイ・サン諸語、またアフロ・アジア系の中でもチャディック諸語、さらにはニューカレドニア諸語やアメリカ・インディアン諸語など。また、日本語やインド・ヨーロッパ系のスウェーデン語やセルボ・クロアティア語などのピッチ・アクセント諸語の研究も重要である。具体的な研究テーマとしては、声調、音調、アクセントなどの用語の整理と同時に、次のようなものが考えられる。(1)声調(正確にはピッチ)の音声学的特性(2)子音、母音といった分節素との関係(3)個々の言語における声調の体系(4)声調の語彙的、文法的機能(5)声調言語とアクセント言語との違い(6)世界の声調言語のタイポロジー(7)声調の通時的変化と比較研究(8)声調の発生と消滅鮎澤 孝子池田 巧生駒 美喜市田 泰弘伊藤 英人岩田 礼上田 広美宇佐美(前田)洋上野 善道遠藤 光暁大江 孝男岡崎 正男加藤 昌彦角谷 征昭上岡 弘二神谷 俊郎木部 暢子久保 智之窪薗 晴夫郡 史郎坂本 恭章品川 大輔清水 克正杉藤美代子鈴木 玲子田中 伸一壇辻 正剛Donna Erickson中井幸比古長尾 美武中嶋 幹起中西 裕樹中野 暁雄長野 泰彦新田 哲夫早田 輝洋原口 庄輔平山 久雄福井 玲堀 博文松森 晶子箕浦 信勝藪 司郎湯川 恭敏吉田 浩美米田 信子音韻に関する通言語的研究(主査:梶 茂樹/所員13、共同研究員46)所外代表による共同研究プロジェクト31東京外国語大学 要覧2005◆「シュエダゴン=パゴダのメンテナンス風景」ビルマ語でピッサヤーと呼ばれるパゴダ基部の表面の金箔をはがし、張り替える前に地の部分を磨いているのだと思われる。色からみて「地金」は銅であろうか。黄金に輝くビルマ仏教徒の誇りも、この期間だけは一休みの風情。(ミャンマー連邦ヤンゴン、シュエダゴン=パゴダ、2005年1月10日、澤田英夫撮影)
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