AA研要覧 2005
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国家としてのインドネシア、マレーシアを包含する広義の「マレー世界」の多様な地方文化に関する人類学的な研究はこれまでも行われてきた。しかし、多くの地方に残る現地語文書に関しては、人類学、歴史学いずれの分野からも着目されていない。これらの文書の中には、各地方の文化の形成や変遷に関する興味深い資料が含まれており、あらたな資料の宝庫である。本計画は、これらの文書を中心に、地方文化の形成過程に関する研究を行うものである。本計画は以下の事業と組み合わせて行う。1)インドネシア文献学に関する研修を行い、専門研究者の育成、再訓練を行う。2)インドネシアとの共同研究事業の一部として実施する。3)短期共同研究と組み合わせ、参加する若手研究者を公募する。2005~2006年度は、外国人客員を中心にインドネシア文献学に関するセミナーを定期的に開催するとともに、ジャウィ文書ならびにジャワ文書の研究に焦点を当てる。青山  亨新井 和広奥島 美夏Omar Farouk Bajunid川島  緑久志本裕子国谷  徹黒田 景子小林 寧子塩谷 もも菅原 由美東長  靖中田  考西  芳美西尾 寛治服部 美奈見市  健水上  浩山口 裕子山本 博之朝鮮語は朝鮮半島で話されている言語であり、日本語同様、その起源や系統関係が不明な言語である。また朝鮮語は15世紀半ばにハングルが創製されるまで固有の文字をもっていなかったため、朝鮮語史の研究はより困難なものになっている。それに加え、従来の朝鮮語の研究はそれぞれの研究者が特定の時代の朝鮮語について研究することが主で、朝鮮語史を研究する者同士が相互に協力することによって朝鮮語史全体の流れを追求するということはなかった。そもそも朝鮮語史の研究は、日本でも歴史の古い研究分野であり、研究者も大勢いるにも拘わらず、朝鮮語史をテーマにした研究会や学会も存在していない。朝鮮語史研究が発展しつつある今、研究者が各々の研究を通じて交流することは必要不可欠と見られる。そこで本プロジェクトでは、古代~近代に至る朝鮮語の研究者が集まり、各時代の朝鮮語について、音韻・文法・書誌学等さまざまな側面からの分析を試みる。具体的には年2回の研究会を企画する(1回に1~2名程度の研究発表を予定)。この研究会は、古代朝鮮語の内的再構、口訣資料や訓点資料の分析、諸文献の刊行経緯や制作方法等に関する書誌学的研究、中期朝鮮語・近代朝鮮語における音韻・文法・語法・方言に関する諸問題の研究、朝鮮漢字音研究等を発表のテーマとする。またこの研究会には、専門の研究者だけでなく、朝鮮語史研究を志す大学院生も多く参加するよう要請し、多角的な討論の場を目指す。伊藤 英人門脇 誠一岸田 文隆趙  義成陳  南澤辻  星児南  潤珍福井  玲藤本 幸夫朝鮮語史研究(主査:伊藤智ゆき/所員2、共同研究員9)マレー世界における地方文化(主査:宮崎恒二/所員4、共同研究員20)29東京外国語大学 要覧2005

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