AA研要覧 2005
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近年における国際情勢の変化と学術交流の発展によって、われわれ歴史学研究者は東アジア各地域の文書館・図書館などに所蔵される一次資料に対し、以前とは比べられないほど容易に接近できるようになった。さらに、現地学界でも、あらたな歴史評価・研究動向がおこり、われわれの研究への刺激となっている。ただ対象とすべき史料の量があまりに膨大で、その実態を体系的に把握してはいない。また、個別の研究が深化するとともに、より大きな視野のもとに、問題をとらえなおし、分析枠組みを再検討することも必要である。さらに海外学界との共同研究、史料調査も、双方にとって、より具体的で実りの多い形で推進しなければならない。本プロジェクトでは、このような研究状況を念頭におきながら、18世紀から20世紀初頭の東アジア世界各地域における社会の変容が、外部世界とどのように有機的に連関していたかという問題を中心にすえ、文書史料によりそれがどこまであきらかにできるか検討する。東アジアに関する史料と研究情報の開かれたフォーラムをめざしている。毎回テーマをかえながら、海外からのゲスト・スピーカーもまじえ、シンポジウム形式で研究会を開催し、また『東アジア史資料叢刊』などの出版物も刊行している。本年度は、モンゴル史料、および日本所在朝鮮王朝時代古文書に関するシンポジウムをおこなう予定。赤嶺  守石井  明石川 禎浩井上  治井村 哲郎江夏 由樹岡 洋樹尾形 洋一岡本 隆司笠原十九司加藤 直人川島  真貴志 俊彦岸本 美緒楠木 賢道佐々木 揚新免  康菅原  純寺山 恭輔西村 成雄萩原  守浜下 武志原  暉之平野  聡ブレンサイン細谷 良夫松川  節松重 充浩毛里 和子森川 哲雄柳澤  明吉澤誠一郎現在の西南中国は、もともと非漢族の居住地域であり、中国歴代王朝の支配下に少しずつ組み込まれていく歴史をもつ地域である。元明清を通じて、漢民族移民の増大と歴代王朝の統治政策によって、多くの非漢族が中央政府に直接支配されるようになり、そのことによって民族移動が激しくなり、非漢族の土着社会に大きな変容がおこり、東南アジア大陸部へ移住する非漢族も出現した。だが、従来この歴史過程を総合的に分析する研究は僅少であった。本プロジェクトの目的は、(1)西南中国非漢族の歴史に関する研究発表、(2)史(資)料の発掘・収集・整理をおこなうことによって、従来注目されることのなかったこの地域の歴史に対する研究を促進することにある。なお、方法論として非漢族を主体とした分析視点を重視すると同時に、歴史学者以外に文化人類学、民族学、民俗学、言語学などの専門家の参加によって学際的なアプローチの構築をめざす。井上  徹上田  信上西 泰之菊池 秀明岸本 美緒小柳 美樹末成 道男武内 房司多田 狷介谷口 房男張 士 陽塚田 誠之寺田 浩明林 謙一郎吉澤誠一郎吉野  晃渡辺 佳成渡部  武西南中国非漢族の歴史に関する総合的研究(主査:クリスチャン・ダニエルス/所員4、共同研究員18)東アジアの社会変容と国際環境(主査:中見立夫/所員3、共同研究員32)一般共同研究プロジェクト21東京外国語大学 要覧2005

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