【目的】フィールドサイエンス研究企画センター(略称FSC)は、平成16年度の準備室段階を経て、所内措置により平成17年度に発足しました。AA研の研究活動を特徴づけてきた臨地調査の手法をより実践的・理論的に開発して、さまざまな学問の領域を横断する「フィールドサイエンス」という「現地学」を構築するとともに、調査関連データを体系的に蓄積し、臨地調査に関わる研究者間の連携を担うことを目的としています。【活動の指針】FSCの当面の活動には、次の6本の柱から成ります。特に(1)~(4)については、これらを包括する研究事業「中東イスラーム研究教育プロジェクト」の事業本部をFSCに置き、その推進主体の役割を果たします。この事業は、現在のアジア・アフリカを俯瞰した際に中東・イスラーム圏に焦点を当てた研究が極めて重要であるとの認識に立って、平成17~21年度文部科学省特別教育研究経費をもって実施するものです。(1)研究手法の開発海外での臨地調査に関わる手法を実践的・理論的に開発することを、FSCの研究に関わる業務活動とします。中東地域を中心にイスラーム圏での臨地調査の研究がいかにあるべきか、を当面の重点課題とします。(2)大型共同研究プロジェクトの実施「ムスリムと非ムスリムの対立・共存」などをテーマとして、中東・イスラーム圏を中心にグローバルな視野をもつ大型共同研究プロジェクトを実施します。(3)研修事業上記の成果の社会還元の一部として、研究手法に関わる研修「中東・イスラーム研究セミナー」(7月・12月)と「中東・イスラーム教育セミナー」(7月)を実施します。それぞれ博士論文執筆予定レベルの若手研究者、大学院生の研修生を公募し、地域や専攻分野の枠を超えた学際交流の場を提供します。(4)現地研究拠点の設置上記(1)~(3)の活動を効果的に遂行するため、複数の海外現地研究拠点を設置する準備を進めます。レバノンのベイルートをはじめ中東地域・イスラーム圏を重点的にカバーし、わが国におけるこの地域の研究の先端的拠点となることを目指します。(5)海外学術調査総括班の実績の継承と展開「海外学術調査総括班」は、1964年以来、本研究所に事務局をおきつつ、他機関に所属する研究者と協力して組織され、科学研究費補助金(海外学術調査)にかかわる研究者・研究組織間、および研究者側と日本学術振興会の間の情報交換、連絡調整などの活動を行ってきました。活動の主なものとしては、海外学術調査の研究組織の代表者を集めて情報交換を行う「海外学術調査総括班フォーラム」の開催、国際情勢に即応した研究を可能にするための現地調査、これまでの海外学術調査に関する蓄積データのウェッブページにおける限定公開とその利用の開発、および広報などです。今後、FSCが中心となり「総括班」の実績を継承し、さらに展開していくことになります。URLは、http://www.aa.tufs.ac.jp/~gisr/index-j.html(6)地域研究コンソーシアムとの連携「地域研究コンソーシアム」は、教育研究組織のみならずNGOも含めた幅広いアカデミック・コミュニティに立脚して、地域研究関連情報を蓄積し、その成果を広く社会に問うことなどを目的としています。AA研は、北海道大学スラブ研究センター、京都大学東南アジア研究所、国立民族学博物館地域研究企画交流センターとともにワーキンググループを形成して、コンソーシアムの設立準備に当ってきました。コンソーシアムは2004年4月26日に発足しました。全国共同利用研究所であるAA研は、こうした協議体のなかで幹事組織の一つとして大きな役割を果たしていきますが、FSCはその連携活動の窓口として機能します。18アジア・アフリカ言語文化研究所フィールドサイエンス研究企画センター(FSC)
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