1.設置目的東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所情報資源利用研究センター(Information ResourcesCenter / ILCAA, 略称irc-ILCAA)は、アジア・アフリカの言語文化に関する情報資源の蓄積・加工・公開と、それを活用した共同研究手法の開発、国際学術交流の推進を目的として、平成9(1997)年度に設置されたものです。2.研究所とセンター本研究所は、従来から、アジア・アフリカの諸言語のデータをコンピュータ化し、それぞれの言語の音韻論的・統語論的・語彙論的分析をおこなうとともに、歴史学的・民族学的・社会学的研究等、多目的な用途に供するデータベースの充実を図ってきました。このデータベースは、本研究所の最も重要な事業のひとつである、アジア・アフリカの諸言語の辞典・文典の編纂の基礎資料を提供し、かつ全国の研究者の共同利用に供されています。3.活動の指針センターは、上記のようなこれまでの研究所の活動を基礎に、10年間で、下記の点で、理論・技術の整備・洗練をおこなうことをめざしています。(a)アジア・アフリカの言語文化に関するコンテンツ公開の場として所内には、上記のような言語データだけでなく、アジア・アフリカの言語文化に関する多様な資料(パンフレット、ポスター、フィルム、8ミリ、ビデオ、録音テープ等)が豊富に所蔵されています。このデータの所内・所外での利用は必ずしも容易ではなく、公開に向けた整備が緊要です。(b)国際的共同研究の場としてデータベースを国際的に公開・共有し、それに基づく研究支援の環境をつくり、国際的共同研究の効率化と内容の充実を図ることをめざしています。(c)コンテンツ蓄積・交換に関する基礎理論の整備母体として通時的文字論を考慮した文字コード(符号化文字集合)論、多言語処理論、多表記系(スクリプト)の照合(collation)・整形・組版基礎理論等、従来、理論的な整備がほとんどない分野を理論化することは急務といえます。また、多表記系(スクリプト)混在でのinput methods、整形・組版結果の交換プロトコル等、まだ仕様自体が不安定な分野の仕様の洗練、さらには、画像・動画・音声抽象検索などのマルチメディア系でのinput methodsとインタフェースにも、今後積極的に関与していく予定です。4.今年度の主な研究事業毎年度、センター運営費によるデータベース構築、言語文化に関する一次資料の資源化のためのプロジェクトが企画・進行しています。その一例をあげると、「北米インディアン諸語音声」(代表:中山俊秀)のデジタル化、チベット語文献コーパスの構築(代表:星泉)などがあります。この他に、以下のような本研究所で進行中の競争的研究費による研究活動、および外部団体との共同研究事業にも積極的に支援を行っています。(1)文部科学省・COE形成基礎研究費『アジア書字コーパスに基づく文字情報学の創成』(代表:ペーリ・バースカララーオ)(2)文部科学省・データベース科研費『三省堂言語学大辞典』(代表:町田和彦)(3)産学連携共同研究『多言語機械翻訳システムの評価研究』(共同研究クラスA、代表:町田和彦)(4)新エネルギー・産業技術開発機構(NEDO)との共同研究『多言語処理技術の基盤整備』(代表:星16アジア・アフリカ言語文化研究所情報資源利用研究センター(IRC)
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