AA研要覧 2003
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34 日本における唯一の,大学附置人文科学系共同利用研究所である本研究所は,アジア・アフリカ諸地域の言語文化に関する研究に必要な基礎資料を,1964(昭和39)年の創設以来収集してきました。とくに海外約50カ国,150研究機関とのあいだで,寄贈・交換により資料を継続的に集めています。現在,その総数は,図書10万冊弱,雑誌約1,220タイトル,マイクロフィルム 1万余リール,マイクロフィッシュ 3千余に達していますが,このほかにも古文書,地図,写真,ヴィデオや,さらにはCD-ROMなどのあらたな媒体もふくまれています。 このなかには,浅井恵倫氏旧蔵資料(台湾先住民関係の土地契約文書,動画,写真,語彙集,用例集,フィールドノート,参考文献類)のように,本研究所プロジェクトにより整理され,研究所ホームページで公開され,内外研究者の関心を集めているものもあります。またカンボジア語版南伝大蔵経は,カンボジアの戦乱により現地では散逸しましたが,本研究所蔵本をもとに複製版がつくられ,カンボジアの文化教育機関,寺院に寄贈されて,かの地の文化復興に貢献しました。さらに19世紀「カイロ石版画集」コレクションは,先年,中近東文化センターにおいて展覧会が開催され,注目を浴びました。 このほかにも,オスマン語劇場ポスター,ナポレオン「エジプト誌:第2版」,19世紀末からのイランの主要新聞65種,19世紀末に創刊されたベンガル語文芸雑誌のバックナンバー,中国清代の製糖法を伝える画集,清代台湾民俗図,清代モンゴル語仏典,ロシア帝国で出版されたモンゴル語聖書,清代公文書各種など,貴重な文献がふくまれています。三浦周行氏旧蔵品もふくむ,朝鮮王朝古文書類コレクションは,最近入手されたものですが,現在も収集が続けられております。 アジア・アフリカ研究における先覚者の個人文庫では,山本謙吾(満洲語研究),浅井恵倫(オーストロネシア語研究),小林高四郎(モンゴル史研究),前嶋信次(イスラーム研究),王育徳(台湾語・文化研究)諸氏の蔵書が保管されています。 今回の移転にともない,これらのコレクションのうち,一般図書,個人文庫類は附属図書館内に設置されたAA研コーナーに別置配架され,貴重書,参考図書,大型本,マイクロフィルム類,雑誌は研究所棟の1階にある文献資料室で閲覧できます。なお附属図書館AA研コーナーにある図書は,ほかの附属図書館蔵書とともに,共同研究員,研究生も館外貸出しのサーヴィスをうけられます。 国立国会図書館のアジア関係図書は,関西館新設にともない移転しますが,その意味では,東洋文庫と並んで,関東地区におけるAA研図書資料コレクションの意義と役割は益々重要なものとなりましょう。 なお,AA研所蔵の図書資料の利用方法については,AA研のホームページ(http://www.aa.tufs.ac.jp/)及び東京外国語大学附属図書館(http://www.aa.tufs.ac.jp/library/)のホームページをご覧ください。 図書資料コレクション

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