AA研要覧 2003
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29 浅井・小川未整理資料の分類・整理・研究 (主査:土田 滋(所外),三尾裕子(所内)/所員4,共同研究員9) 所外からの代表による共同研究プロジェクト 言語研修 (主査:峰岸真琴/所員3,共同研究員3) その他のプロジェクト アジア・アフリカ言語文化研究所には,1970年に浅井恵倫博士の所蔵していた書籍を中心として,浅井文庫が設置された。しかし,既に公開された書籍の他に,台湾原住民に関する貴重な一次資料(フィールドノート,語彙集等,写真などのアルバムやフィルム,原稿,書簡,卖語カード,音声資料,8ミリフィルム,未発表の高砂族伝説集検索カード,浅井の大先輩でもある小川尚義の講義ノート等)があり,そのほとんどは未整理・未公開である。これらの中には,戦災で現物が消失した『スピリツアル修行』のマニラ本のフィルムや台湾の平埔族関係の清代に作られた土地契約文書の原本なども含まれており,これらは,現在では既に手に入れることがほとんど不可能である。また,台湾の原住民のうち,平埔族については,既に平埔族自体が漢化してしまっており,独自の言語,文化のほとんどを失っている。このような事実から考えれば,浅井博士の残した資料は大変重要な資料であるということが出来,早急に分類・整理を行って公開することが必要と考えられる。 このような状況に鑑み,本プロジェクトは,浅井博士及び小川尚義博士の残した一次資料の整理・分類を行い,この方面の研究者の研究の利便を図るために,電子媒体を中心として公開していく事業を進めてきた。既に,本プロジェクトは,浅井・小川自身によるフィールドノートや彼らが収集した一次資料,写真資料をホームページ(http://jcs.aa.tufs.ac.jp/Asai/)で公開している。平成15年度は,写真資料のオンラインカタログの整備,動画,音源などについての整理と分類,解析を行う。 笠原政治 清水 純 末成道男 谷 智子 中西裕二 宮岡真央子 森口恒一 山本芳美 吉澤誠一郎 言語研修のためにもうけられている「言語研修専門委員会」は,その分野に精通する研究者によって構成され,アジア・アフリカの言語に習熟し,実際的に役立つ能力を高める最も効果的な方法を検討することを目指している。 毎年開催されている短期集中言語研修の目標は, (1) 口語及び書き言葉の能力をつける (2) 言語の科学的研究と実際的応用の訓練の提供 (3) 大学院相当の学生に野外調査を実施するための手段としての言語習得の援助 また,該当年度に開催する各言語の責任者を共同研究員として,「言語研修専門委員・共同研究員合同会議」が年3回開催され,研修言語の選定,教授法,開催時期,開催期間,実施方法,評価等について検討する。 冨田健次 降幡正志 森山幹弘

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