23 修辞学の情報学的再考 (主査:小田淳一/所員 6,共同研究員18) 間大西洋アフリカ系諸社会における20世紀<個体形成>の比較研究 (主査:真島一郎/所員 4,共同研究員29) 古典修辞学の諸部門の中で19世紀まで存続したのは「表現法(elocutio)」のみであるが,20世紀半ばから始まった修辞学の復権は表現法を,テクストを構成する諸要素間の範列的関係及び連辞的関係におけるコード変換の技法として,実体的な要素卖位に対して直接作用する操作であると見なすに至っている。 本プロジェクトは言語表現,音楽表現,映像表現,身体表現等の作り手,またそれらの表現を分析している研究者を共同研究員及び研究協力者に加え,芸術の美的価値をある構造の関数として記述するという,一元的な芸術=形式論に基づく「形式的構造の研究」としての一般修辞学を情報学的に考察することによって,様々な形式を持つ言語文化情報に偏在する修辞学的技法のレパートリーを明らかにすることを目的とする。 青柳悦子 石井 満 宇佐美隆憲 内海 彰 小方 孝 金井明人 上村龍太郎 佐藤みどり 徃住彰文 永崎研宣 永野光浩 難波雅紀 西尾哲夫 平井 覚 堀内正樹 松本みどり 水野信男 良峯徳和 21世紀転換期の人文社会系諸学でこれまでに発現をみてきたさまざまな思潮の底流にあるのは,西欧近代の市民原理に裏打ちされ相互に交錯しつつ成立した三様のレヴェルにおける歴史主体-<国家><民族><個人>-のありようを複数の視角から根本的に問いなおしていく,主体の問いなおし作業にほかならなかった。本プロジェクトがめざすのは,このうち国家や民族の“揺らぎ”とは対照的に主体としての権利づけが複数性のうちでつねに代補・更新されつつ,非西洋世界における記憶,声,身体,ジェンダー,あるいはクレオール,ディアスポラ,サバルタン,マイノリティ,市民(市民社会,世界市民…)といった数々の言説空間の内で中核を占めてきた第三の主体概念<個人>の位置づけについて,20世紀・間大西洋アフリカ系諸社会における特定の個々人の生の深みにまでさかのぼった具体の場からこれを問いなおし,比較検討していく作業である。アフリカ大陸・島嶼部の諸社会,カリブ・中单米のアフロ系諸社会,およびアメリカ合州国のアフリカ系コミュニティを対象とする人類学,歴史学,政治学,文学など多分野の研究者から構成された共同研究によりその際とくに焦点があてられるのは,自己による自己の生を通じた表象形成と,他者による他者の情報を介した表象形成との交叉点で成立する,<個体化=個体形成 individualization>の歴史・文化的動態となるだろう。 阿部小涼 荒井芳廣 岩田晋典 梅屋 潔 遠藤 貢 大辻千恵子 大森一輝 落合雄彦 北川勝彦 工藤多香子 栗本英世 小池郁子 崎山政毅 佐久間寛 佐々木孝弘 柴田佳子 鈴木 茂 鈴木慎一郎 武内進一 竹中興慈 中條 献 津田みわ 中林伸浩 浜 邦彦 樋口映美 星埜守之 松田素二 矢澤達宏 渡辺公三
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