21 アル=アフガーニーとイスラームの「近代」 (主査:飯塚正人/所員2,共同研究員23) 西南中国非漢族の歴史に関する総合的研究 (主査:クリスチャン・ダニエルス/所員5,共同研究員17) 今まで本プロジェクトにおいて,(1)西单中国非漢族の歴史に関する研究発表と(2)史(資)料の発掘・収集・整理という基本目的に沿って研究を進めてきた。2002年度に完成される予定の《貴州苗族林業契約文書匯編》第三巻史料編・研究編に続き,2003年度において16世紀から19世紀までの雲单单部の山地開発を重点的に研究する。実地調査によって収集された碑文などの史料の分析を通じて,漢族が山地に移住して生態系を改変した歴史過程を明らかにする予定である。 井上 徹 上田 信 上西泰之 菊池秀明 岸本美緒 末成道男 武内房司 多田狷介 谷口房男 張士陽 塚田誠之 寺田浩明 林謙一郎 吉澤誠一郎 吉野 晃 渡辺佳成 渡部 武 イラン生まれのジャマール・アッ=ディーン・アル=アフガーニー(1897年没)は,生涯にアフガニスタン,インド,エジプト,トルコといったイスラーム圏の各地とヨーロッパ諸国を訪れ,19世紀後半以降のイスラーム世界の歴史に大きな思想的影響を与えた革命家である。彼は伝統的イスラーム思想の改革や専制政治の打破など,ムスリム社会内部における変革の必要を唱える一方,各地でヨーロッパの侵出に対するムスリムの団結(パン=イスラミズム)を説いて回った。エジプトのオラービー運動,イランのタバコ・ボイコット運動など,19世紀末に各地で起きた「民族」運動も,彼の存在を抜きにして語ることはできないし,現在イスラーム世界が直面している思想的課題のほとんどはアル=アフガーニーのもとですでに予感されていたといっても過言ではない。 本プロジェクトは,1997年に没後100年を迎えたこの偉大な革命家の思想や足跡,各地における評価などを総合的に分析することによって,最終的にはイスラーム世界における「近代」の意味まで問い直すことをめざす。また,これと並行して,アル=アフガーニーが弟子のムハンマド・アブドゥフとともに,1884年にパリで創刊した雑誌『固き絆』の邦訳も進めている。 新井政美 池内 恵 大石高志 大塚和夫 帯谷知可 加賀谷寛 粕谷 元 菊地達也 栗田禎子 小杉 泰 小松久男 酒井啓子 澤江史子 嶋尾孔仁子 富田健次 中田 考 中西久枝 中村 覚 八尾師誠 松永泰行 松本 弘 三木 亘 吉村慎太郎
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