AA研要覧 2003
20/47

18 重点共同研究プロジェクト 全国共同利用研究所である本研究所にとって,所員が中心となって所外の研究者と共同で推進する共同研究プロジェクトは,最も大切な研究業務のひとつです。 これまで数多くのプロジェクトが組織され,約400点におよぶ出版物をはじめとして多様な研究成果をあげています。 また,1996年度からは,従来の研究分野を越えた斬新な共同研究を推進するプロジェクトに重点的に予算を配分し,重点プロジェクトと位置づけて運営することになりました。最初の重点プロジェクトとして「東单アジアにおける人の移動と文化の創造」が組織され,国際シンポジウムをおこなうなど,活発な研究活動が展開されてきました。1997年度には,さらに「音韻に関する通言語的研究」プロジェクトが,また2000年度からは「アジア・アフリカにおける政治文化の動態」が組織されました。 更に2000年度からは,研究所の共同利用性を高めるために,専門知識を有する所外の研究者に代表をお願いして運営するプロジェクトを開始しました。現在,「浅井・小川未整理資料の分類・整理・研究」が展開されています。 本年度おこなわれるプロジェクトは次のとおりです。 言語学の本来の研究分野は,音韻,形態,統語,意味であるが,そのなかでも音韻論は,長らく他の研究分野をリードしてきた。本研究プロジェクトは,音韻論のなかでも声調(tone)を中心とする超分節素(suprasegmentals)の研究をおこなう。 世界に,声調言語は意外と多い。中国語諸方言やチベット・ビルマ系諸語,またベトナム語,タイ語などの東单アジア諸語,バンツー系やクワ系などのニジェール・コンゴ諸語,マサイ語やナンディ語などのナイル系諸語,单部アフリカのコイ・サン諸語,またアフロ・アジア系の中でもチャディック諸語,さらにはニューカレドニア諸語やアメリカ・インディアン諸語など。また,日本語やインド・ヨーロッパ系のスウェーデン語やセルボ・クロアティア語などのピッチ・アクセント諸語の研究も重要である。 具体的な研究テーマとしては,声調,音調,アクセントなどの用語の整理と同時に,次のようなものが考えられる。 (1)声調(正確にはピッチ)の音声学的特性 (5)声調言語とアクセント言語との違い (2)子音,母音といった分節素との関係 (6)世界の声調言語のタイポロジー (3)個々の言語における声調の体系 (7)声調の通時的変化と比較研究 (4)声調の語彙的,文法的機能 (8)声調の発生と消滅 鮎澤孝子 生駒美喜 市田泰弘 伊藤英人 岩田 礼 上田広美 上野善道 遠藤光暁 大江孝男 岡崎正男 加藤昌彦 角谷征昭 上岡弘二 神谷俊郎 木部暢子 久保智之 窪薗晴夫 坂本恭章 品川大輔 清水克正 清水政明 杉藤美代子 鈴木玲子 田中伸一 壇辻正剛 中井幸比古 中嶋幹起 中西裕樹 中野暁雄 長尾美武 長野泰彦 新田哲夫 早田輝洋 原口庄輔 平山久雄 福井 玲 堀 博文 前田 洋 松森晶子 箕浦信勝 藪 司郎 湯川恭敏 米田信子 吉田浩美 SMITH,Donna M Erickson 共同研究プロジェクト 音韻に関する通言語的研究 (主査:梶 茂樹/所員16,共同研究員45) 共同利用

元のページ  ../index.html#20

このブックを見る